ゴルフを知らない人の方が圧倒的に多かった時代

もう50年以上前、有川工業が創業当時だった頃のことですが、私たちの工場では直線縫いのようなシンプルな縫製はできたのですが、手袋を縫うノウハウは持っていませんでした。

また、ゴルフというスポーツも50年前にはあまり浸透しておらず、都会の方で流行り始めたばかりでした。

そんな中、創業者である有川安男は、噂を聞きつけいち早くゴルフを習ってプレーしておりました。習いに来る人は皆、ゴルフに使う道具もその時初めて知るような人ばかり。今思えば間違った情報も多かったのですが、当時はゴルフを知らない人のほうが多かった時代ですので、そんなもんだ、と思うほかなかったのでした。グローブだって、果たしてどれほどのものだったか。

手袋の町、香川県東かがわ市からの直伝テクニック

ゴルフが日本に入ってきたその当時、手袋産業といえば香川県で全国ほぼすべてのシェアを占めていました(今でも国産手袋のほとんどが東かがわ産です)。

その香川県の手袋職人さんに指導に来てもらい、ここ姫路でも自力で手袋が縫えるようにとすべてのノウハウをレクチャーしていただきました。

例えば、縫製の技術。

平面の縫製というのは比較的簡単にできるものですが、グローブのような立体を作るとその何倍も難しくなります。その立体をつくるテクニックこそが、かがわの職人たちが長年培ってきたノウハウだったのです。

さらに指先がぴしっと伸びた美しい手袋を作るには少々コツがあります。その当時学んだことは今日のグローブ製作に脈々と受け継がれています。

その後も現在まで手袋産業の最新情報や新しいテクニック、生地の流行など、弊社と東かがわ市が常に同じレベルで手袋生産ができるよう情報を共有しております。


(東かがわ市白鳥神社にある手袋産業創始者の両児舜札(ふたごしゅんれい)師碑と棚次辰吉(たなつぐたつきち)翁銅像)

その一方で、当時は香川県で手袋は作っているものの、ゴルフがいったいどういうスポーツなのかというあたりの情報はなかなか伝わっていませんでした。そこで今度は私たちが手袋職人さんに”ゴルフとはどういうスポーツなのか。ゴルフ手袋には何が求められているのか”を教えておりました。

ゴルフグローブを作る職人は、常に最新のゴルフ業界のことを知っていなければいけない。
トッププレーヤーの意見、プロとアマのスイングはどう違うか。力が掛かるポイントやグローブのデザインのアイデアは、実際にプレーし常に現場にいる人間でないとわかりにくいものです。

補強が必要な場所や指先の縫製の処理など、プレーヤーとしての意見を香川県に発信しております。

ここ姫路市は、ヒロマツモトのパターや市川町のアイアンなどゴルフクラブの生産も多い街です。

さらに革の産業が盛んであることも相まって、ゴルフグローブに一番適している革の選定にも有川革嚢工業が主導して行っております。