工業用ミシンのベストセラー MITSUBISHI DY-340

手袋縫製にとっての命

有川革嚢工業は、オーダーメイドゴルフグローブを始める前からも手袋産業・縫製業務に深く関わっており、その当時から使っている”手袋を製造するための機械”があります。代表的なところではこのミシンがそうでしょうか。
三菱のミシン、DY-340というと現在でもレザー職人たちのほとんどがこれを所有しているぐらいの名機。これは1970年代から製造され当時のベストセラーミシンのひとつなのですが、私たちのところもこのミシンを使っております。
このミシン、上下送りという機構が特徴で厚さ2ミリの革を2枚重ねにバリバリ縫っていけるパワーが持ち味なのですが、調整次第では0.5ミリ台の極薄物でも破かずにきれいに縫っていってくれます。意外と繊細な作業も得意です。
流通量が多かった為アタッチメントも豊富で、予備を含めると工具箱いっぱいにミシンのパーツがストックされています。

さて、そんなミシンですがずっと使っていると、金属同士が擦れ、徐々に削られていってしまう一方で、機械の奥の方のパーツはオイル切れを起こしたりさびたり焼け付いたり。何十年も使っているとこの手のトラブルは避けられないものだと思います。
少し動きが鈍く感じるミシンがありましたので、オーバーホールがてら、この機会に大がかりなメンテナンスをしたいと思います。

通常の注油や拭き取り、糸くずやホコリの掃除はしょっちゅうやっていてなにも珍しくないので、今回は・・・

ミシン分解
この時点で20個近くの部品が外されています
ミシン分解・修理
外せる部品はほとんど外す

この状態からスタートです。ミシンは使っていてもミシンの中身って見たことない人多いんじゃないでしょうか??
ここまで分解すると、中に飛び散ったグリスやオイル汚れが簡単に拭き取ることが出来ますので、まずは全部きれいに拭き取っていきます。

数種類のマイナスドライバー
工具は適材適所、無理に使うのはご法度
外れた部品
サビついてはいるものの、まだ使える部品ばかり

部品も、マイナスねじや六角ボルトで留まっているだけなので、可能な限り外していきます。
あまりに分解しすぎると、どのパーツがどれだかわからなくなってしまいそうです。

パーツ
汚れが付いたパーツ
パーツ
磨いていくと輝きが戻ってくる

このように錆び汚れてしまったパーツはどうするかというと、
パーツクリーナーやクレ556を吹いて、スチールウールでこすり、汚れた油を丁寧に拭き取ります。
すると・・・

新品のよう、と言うとちょっと言い過ぎですが輝きが戻ってきました。

同じように、、、

メガネ
磨き前
パーツ
磨き後

こんなパーツ(これは通称メガネと呼ばれているパーツです)もぴかぴかに磨き上げます。
全パーツ磨き終わったあとは、いよいよ組み立てです。

組み上げ
元通りに組み立てていきます
組み立て
ミシン油も注しておきます

タイミング調整は後にして、とりあえず仮止め。調整ネジ以外はしっかりと締めます。
もうこの時点で動きのなめらかさが実感できます。奥のほうは今のうちにオイルアップしておきます。

はい、元通り。というわけで、ここまで数時間かけてオーバーホールいたしました。

ここからは送りの調整、針のタイミングと深さ、押さえのタイミング、重さなどをじっくり調整して完了となります。
送りの調整は下の送り歯の高さから。
ここが高すぎず低すぎず(マニュアルには、最大で1ミリに調整する)の高さになるように調整します。
その次に、上の送りの高さと前後の位置を後方のねじをゆるめ、調整します。
針のタイミングはかなり慎重に調整しなければ行けないところ。
こちらで詳しく説明しています

メンテナンスを終えたミシンは、新たにきれいなミシンオイルを注油し、なじむまで軽く空縫いさせておきます。
また、明日からもいいグローブを縫ってもらいましょう。